『昼下がり、立て込みの終わった蕎麦屋に入り、焼き海苔か玉子焼きあるいは『板わさ』をアテに熱燗を一本、仕舞いは「もり」で仕上げてその足で銭湯へ…。』
これが江戸っ子のささやかな隠居後の夢なんだそうです。
浅草の並木の藪蕎麦に行くと、白髪混じりの刈上げ頭をしたおじいちゃんがシャキッとした様子で酒を飲んでいる場面によく出会います。店内に風情を感じます。
私が蕎麦を食べる時に『板わさ』と酒を飲むようになったのは、並木の藪蕎麦での体験からです。
『板わさ』は『蕎麦屋の刺身』と言われるぐらいで、本当に日本酒によく合います!
『板わさ』については江戸の食文化のように言われてるけど、ホントは大坂発信なんです!
文献にあるんで引用しときます…
「明治の中頃、ご婦人や使用人階級の街の休憩所はぜんざい屋が多かった。
船場、新町、曽根崎新地などでは、やはり常得意さんは甘いもの好きの芸者。
時にはこれらの芸娘はんがお客さんを連れ込むことがある。
お客さんは、ぜんざいではおもしろくないといって酒を注文するので、
とっくりを置くようになり、酒の肴に何がよいかと思案して、雑煮に使う かまぼこ に
わさびをつけて出した。(大正から昭和にかけて かまぼこ のことを 板 と呼んだ)
これがいつの間にか『板わさ』とよばれるようになり、このようなことから、
いつしか大坂が『板わさ』の元祖であろうといわれている。」 ―― 浪花夜ばなしより ――
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酒ですが、信州の蕎麦屋で飲んだ酒を紹介しときます。鳥取の酒です!
出雲杜氏が丹精込めて醸しだしたお酒で、味わいは辛口で、キレもよく、幅もあり、ふくらみ
もある旨みのある純米酒。ぬる燗にすると最高!
<鷹勇辛口純米酒>鳥取県/大谷酒造(株)
酒蔵は鳥取県のほぼ中央に位置する琴浦町にあります。
北部は日本海に面し、南部は大山から連なる山地に囲まれてます。
神代の昔、天照大神が国ゆずりのために派遣した言問(こととい)の使いが、天より降ってこられた伝説の地
大山水系の伏流水を仕込み水に、優れものの辛口酒を醸しています。
原料米:山田錦・玉栄
精米歩合:50% 日本酒度:+8 酸度:1.5 アルコール度数:15~16%
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