フランスで、フランス人が・・
ダイヤモンドと石ころほどの評価差のあるカリフォルニアワインとフランスワインを飲み比べる。
誰が見てもこのテイスティングの結果は明らかだ。
会場に集まった人々は皆そう思いました...。
「結果はアメリカ人には厳しい現実となるだろう。」
「けれどもそれはアメリカワインの今後の糧になるのだ。」そんなことまで言われました。
テーブルには番号がつけられ、ラッピングされて名前のわからないボトルが一列に並べられ、
口直しのためのパンとワインを吐き出す容器が用意されました。
・・・
いよいよテイスティングの開始です・・
審査員にはメモと鉛筆が渡され、1銘柄づつを1から20ポイントで採点しました。
「カリフォルニアを見つけるのは簡単なこと。」
「口に含んでみる必要もない。一度嗅げば十分さ。」
「これはフランスワインの偉大さだ。ボルドーの一級に違いない」
審査員からはそんな言葉が聞こえたそうです。
ところがいざテイスティングが終了し、ラッピングが剥がされたとき・・
会場にいる誰もが信じられない光景を目にすることとなりました。
審査員が赤ワインNO.1に選んだのは・・
なんと2位のムートンと僅差ながら『スタッグスリ-プ・カベルネ 1973』。
そして白は圧倒的な差で『シャトー・モンテリーナ 1973』。
そう、赤・白ともにカリフォルニアワインが1位に選ばれたのです。
・・・
その頃スタッグスのウォーレン・ウィニアスキー氏はワインの営業のため家を留守にしていて、
夜に家に電話をした際に妻のバーバラからこのテイスティング大会の結果を聞きました。
モンテリーナのオーナー、ジム・バレット氏はフランスのシャトーを訪問中に知らせを聞きました。
当時フランスでは卑下されていた自分達のワインが、フランスの銘品を抑えてNO.1に選ばれた。
しかしスタッグスのウォーレン・ウィニアスキー氏は「そう、それはよかった」と言っただけ。
モンテリーナのジム・バレット氏は「なんでもないよ、たいしたことじゃない」と呟いただけでした。
彼らは知っていたんです。自分達のワインの本当の美味しさを・・
彼らはわかっていたんです!
____引用:1976年の『パリ事件(パリ・テイスティング)』
ジェームズ・コナウェイ著「カリフォルニアワイン物語」より抜粋
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